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和膳処 あぶらや店主 延山知正さん

味の玉手箱あぶらや
オーナー 延山知正さん

板倉ニュータウンから館林市のつつじが岡へと続く県道365号沿いに、どっしりと構える「和膳処 あぶらや」。
本格直火炊きの釜めしを目当てに、毎日行列ができる人気店です。オーナーの延山知正さんが、おもてなしのこだわりや、生まれ育った板倉町への思いを語ってくれました。

地域にしっかり根付いて
“板倉町のあぶらや”を全国区の釜めし店に
和膳処 あぶらや

生まれ育った板倉町で
地元に合ったおもてなしを

オープンはいつですか。板倉町で開業した理由は?

2006年にオープンしました。私は板倉町の出身なんです。高校卒業後は料理の道を志し、東京や地方に修業に出ていましたが、地元で自分の店を持つのが夢でした。生まれ育った板倉町でやることに意味があると思っていたので、目標通り30歳で開業し、今年で16年目になります。

料理を志したきっかけは?

実家は農家で、私は3人兄弟の長男です。子どもの頃は、両親が田んぼや畑に行っていて、なかなか家族で食事をする時間がありませんでした。ですから、私が下の兄弟のために見様見まねでいろんなものを作って、それを食べながら両親の帰りを待っていた思い出があります。おもてなしというか、手間をかけて人を喜ばせるのが好きなんです。

どんなお店にしたいと思ってオープンしたのですか?

地元に合ったおもてなしができる店です。板倉町は東京や埼玉にも近いのですが、この地域にはこの地域なりのやり方があります。例えばセットメニューにしても、この地域に合ったメニュー作りをして、地元のお客様に来てもらいたい。また、田舎であっても上質なおもてなしができる店にして、他県のお客様にも足を運んでもらいたいという思いもありました。

というのは、板倉町は群馬の最東端に位置し、県外の加須、小山、古河、羽生、熊谷、足利などから車で10~20分で来られる距離です。「今日はドライブがてら、ごはんでも食べに行こうか」というお客様にも、ゆっくり過ごしてもらえる店を目指しました。

「あぶらや」という店名の由来は?

「あぶらや」は延山家の屋号で、元々は菜種油を大名に納める商人だったと聞いています。私は延山家で14代目の長男になります。ずっと農業をやってきましたが、初代から4代目まで商人で、その後先代まで農業を営んでおり、私の代で商売を復活させることになったので、ご先祖様に見守ってもらいたいという思いから、店名に「あぶらや」と言う屋号を使うことにしました。

板倉ニュータウン あぶらや目印の看板この看板が目印。沿道に植えられた四季折々の花々が訪れる人を迎えてくれる
板倉ニュータウン あぶらや外観店はどっしりとした和風の建物。駐車場は第1・第2、合わせて70台分を完備

自家栽培のコシヒカリを
職人技で炊き上げる釜めしが自慢

直火炊きの釜めしが好評です。釜めしをメインにしたのはなぜですか?

私の実家はコシヒカリを生産している米農家です。だから米を使った料理をやりたくて、昔から米炊きを勉強してきました。群馬県には釜めしの有名店が沢山ありますが、自家栽培米コシヒカリを100%使い本格直火炊きの釜めし専門店は当店のみ。そしてこの味で炊けるのはあぶらやのみ、だと思っています。

自慢のメニュー、料理のこだわりを教えてください。

米は自家栽培のコシヒカリのみを使用しています。一般的に、釜めしに使う米は、水分含有量が少なく、比較的さっぱり炊きあがるブランドを使うお店が多いです。しかし私たち「あぶらや」は水分の多いコシヒカリのみを使います。理由は「やはり美味い」からです。当店ではコシヒカリを年間を通して10℃程度で玄米のまま保管しており、2日に1回のペースで自社精米機で精米し、米とぎの際水分量を調整しながら炊くので、さっぱりと炊き上がります。

20種類ある釜めしのなかでも、定番は五目釜めし。ごはんの上の具材は、上州麦風鶏の照り焼き、北海道産のホタテ、ブラックタイガー、千葉県産サツマイモ、錦糸卵、そして三つ葉。サツマイモは契約農家から取り寄せた紅あずまのみを使っています。赤、黄色、茶色、緑とバランスがよく、フタを開けた瞬間の色彩が食欲を刺激する自慢の一釜です。

板倉ニュータウン あぶらやの釜めし釜めしはすべて一合炊き。米、出汁、具材、色、香りにこだわって、ひと釜一釜炊き上げる
板倉ニュータウン あぶらや御膳五目釜めしをセットした平日昼の部限定の「あぶらや御膳」(税込み2,530円)。食後にお抹茶またはコーヒーが選べる
板倉ニュータウン あぶらやすき焼き御膳うまみたっぷりの上州牛を使った「すき焼き御膳」(税込み3,300円)。グランドメニューにはステーキなどの肉料理もそろう

和食の店でありながら、メニューにピザもあります。始めたきっかけは?

以前から冷凍食品を大手百貨店や、JALファーストクラスの機内販売誌などに卸しており、その流れでぜひピザをと要望があったんです。その後、コロナ禍をきっかけに、テイクアウトとしてお客様に提供しようと本格的にメニューに入れました。イタリアンのシェフに教わって生地からこだわって作っています。

コロナ禍で営業自粛があったり、営業時間の制限があったり、苦しい時期が続きましたが、ピザのテイクアウトに大勢のお客様が並んでくださって、ずいぶん救われました。私もスタッフも、毎日、粉まみれになりながらピザを焼いていましたね。

マルゲリータやカプリチョーザなどの定番はもちろん、味噌ベースの和ピザも好評です。「和食屋なのにピザ?」と思う人もいるでしょうが、カッコつけている場合ではないので、やれることをやる。コロナ禍では何でもチャレンジしていくことが大事だと思っています。

誰もがゆっくり過ごせる
来てよかったと思える店に

落ち着けるお店ですね。内装にもこだわりを感じます。

席は、小上がり、カウンター、座敷、テーブルの4パターンに分かれています。赤ちゃん連れのお客様には座敷がくつろげるでしょうし、お身体の不自由な方にはテーブル席がいいですよね。小上がり以外は全面バリアフリーで、車イスのお客様もスロープでそのまま店内に入ってもらえます。

ゆっくり過ごしてもらえるように、全部が仕切られた部屋になっています。窓越しに庭を眺められるほか、店内の12カ所に手ぬぐいのタペストリーも。約200枚のコレクションをこまめに取り換えて、お客様に早めの季節を感じてもらえるように心がけています。着物の帯を飾った席もありますよ。

板倉ニュータウン あぶらやカウンター席カウンター席は掘りこたつ式。落ち着いた雰囲気ながら、厨房の活気も味わえる
板倉ニュータウン あぶらや座敷座敷の一部はテーブル席になっていて、車いすや杖を使っている人にも過ごしやすい
板倉ニュータウン あぶらや座敷から庭の眺め座敷はよく手入れされた庭を眺められる。ライティングされた夜の雰囲気もいい
板倉ニュータウン あぶらやタペストリー秋を感じさせる手ぬぐいのタペストリー

どんなお客様が多いですか?またどんなお客様に来てほしいですか?

60代~70代を中心にお友達同士、家族連れ、小さなお子さんを連れたママ友など。1時間半から2時間ぐらい、ゆっくり過ごしていかれるお客様が多いです。休日にはバイクの方も目立ちますね。渡良瀬遊水地やつつじが岡公園、あしかがフラワーパークも近いので、ネットで調べてツーリングの途中に立ち寄ってくれるようです。

ハンディキャップのある方にも気兼ねなく来ていただきたいので、最近は手話にも取り組んでいます。コロナ禍になってからスタッフに通信教育を受講してもらい、まだまだ勉強中ですが、聴覚障害者のお客様には手話で対応可能です。マスクを着用していると口元が見えないので、意思疎通が難しいのでしょう。スタッフが手話で会話ができることがわかると、皆さんたくさん話しかけてくれるので、私たちもうれしくなります。

板倉ニュータウン あぶらやスタッフ小島さんスタッフの小島さんの胸元には手話勉強中のバッジが。「お客様がとても喜んでくれるので励みになります」

今後はどんな店にしていきたいですか?

板倉町に「あぶらや」という店があることを知ってもらいたいですね。名前を聞いたときに、「ああ、釜めしのあぶらやね」と言われるぐらいにしたい。そのために冷凍食品の通信販売にも力を入れています。

商品は、雷電神社の新名物として開発した「雷電いなり」と、狸が化けた話で有名な館林の茂林寺にちなんだ「分福茶釜めし」。いずれも宮司と住職の公認をいただいています。こうした地域密着の商品に取り組んで6年。今後も取り組みを続けて、地域振興の一助になればと思っています。

百貨店に卸しているほか、関越自動車道赤城高原サービスエリア上り線でも販売しています。旅行のお土産としてたくさんの方にご購入いただいていて、それがホームページの検索やInstagramやFacebookの投稿につながっていると感じています。

板倉ニュータウン あぶらや分福茶釜めしオリジナル陶器に入った「分福茶釜めし」。ふるさと納税の返礼品にも採用されている

協力的な地域性が魅力
応援してくれる地元に恩返しを

板倉町はどんなところが魅力だと思いますか。

とても協力的な地域性が魅力だと感じています。何かにつけ、地域の人がよく協力してくれます。例えば、釜めしを売れば、「10個ちょうだい」と買って近所に配っていただいたり。おもてなしの気持ちが豊かというか、義理堅いというか。

もちろん他にも魅力があります。いろんな地域からアクセスしやすく、高速道路のインターは近いし、土地も広い。それから、とにかく災害が少ない。ちょっと風が強いぐらいで、とても住みやすい町です。

水辺と緑の豊かな街・板倉ニュータウンの街の印象は?

妻の両親が板倉ニュータウンに住んでいますが、山がすごくきれいに見えたことが決め手だったそうです。同じように景色や静寂を求めて来た人が多いのでは。歩道は広いし、街路樹も豊か。電柱がない区画もあって景観は抜群。すごく条件のいい街だと思うので、もっともっとPRしてほしいですね。

地域の人から見て、板倉ニュータウンは、どんな人に向いていると思いますか?

自家菜園をやりたい人にもってこいだと思います。私の知人はみんな庭に畑を持っていて、自分でミニトマト、ナス、ネギ、ピーマンなどを育てていますよ。そして収穫した野菜をご近所にあげたり、もらったり。都会ではなかなかできない楽しみではないでしょうか。

歩いて行ける距離に何でもそろうので、現役を引退して夫婦二人でゆっくり暮らしたい方や、二世帯住宅にして孫と一緒に暮らしたいという方にも向いていると思います。

板倉ニュータウン てぃーだ (TiiDa)店の前で見送ってくれた延山さんと小島さん。笑顔のおもてなしが印象的だった

延山さんの暮らしのこだわりや楽しみを教えてください。

庭いじりが好きですね。先日も、道路沿いにマリーゴールドを200数本植えたところです。店のシンボルはピンクの藤で、オープン当時は鉢植えだったものが20メートルほどの藤棚に育っています。敷地内には桜も数種類あり、春はとても華やかですよ。

生け花とお茶、着物も趣味で、すべてが飲食に通じると思っています。仕事の延長みたいに聞こえるかもしれませんが、それが自分にとって面白いからやっている。だから、異常に高価な剪定鋏を買ってみたり、ついついお金を使ってしまいますね。

延山さんにとってのITAKURA LIFEとは?

板倉町で生まれ育って、ここで商売をさせもらっています。地元に貢献したいという気持ちが強く、今は自分が通った小学校でPTA会長を受けさせていただいています。お世話になった地元に恩返しがしたいので、できることは率先してやりたいと思っています。

地元の人間として、スタッフにもお客様にもいろんなことを伝えていきたい。そしてお客様に評価してもらえる店になれるよう、ここで頑張り続けたい。今は車社会ですから評価に値する店であれば、お客様はどこからでも来てくれます。板倉町にしっかり根付いて、地域の人と関わりながら、これからも頑張っていきたいです。

おいしい料理を食べながら、ゆっくり過ごしたいと思ったら、ぜひ「あぶらや」へ。落ち着ける空間、季節を感じる装飾など、随所におもてなしの心が感じられるはずです。

[ DATA ]
味の玉手箱 和膳処 あぶらや
所在地:〒374-0135 群馬県邑楽郡板倉町内蔵新田126-4
電話:0276-82-0699
営業時間:
ランチタイム 11:30~14:00
デイナータイム 17:30~20:30
定休日:水曜日、第2火曜日
駐車場:70台
店内72席 終日禁煙
WEBサイト:https://aburaya.shop/

和膳処 あぶらや

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